第1章 2話

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 1、どんな食材でも調理できる身体的な力。年取っても大丈夫なように。  2、料理のために様々な魔法を使えるように。ミキサー、電子レンジなどの代わり。  3、包丁・鍋などの調理器具を作れる能力。  4、幸運。いい食材に出会えるように。  5、ちょいと長生き。料理を布教するために。 ・・・ここまで料理に偏った人は初めてだった。 この人、無欲じゃなくて、唯ひとつの欲望料理に愚直なまでに忠実なだけなんだ。 賞賛半分呆れ半分になりながらも、早速、候補を探す。 幸運は・・・だいたい同じだし、コレで良いか。 それにしても、アバウトな希望のせいでヒット件数多いなあ。 うわっ、36億件とか多すぎ、候補ありすぎでしょ。 面倒くさいなあ・・・・・・適当にやっちゃえ♪ アレにコレとソレでと、寿命はこんぐらいで良しと。 1,2,3は目つぶって適当だけど誠一さんの希望に添ってるはずだから大丈夫だよね。 一仕事終わり、額の汗を拭うフリをして、欠伸をしている誠一さんに声をかけた。 「用意が完了しました。これより転生を開始します」 「おう、ありがとな。そうだ、神様って人間の飯食えるのか?」 不意に誠一さんが変な事を聞いてきた。 質問の意図が分からないが、答えを返す。 「食べれますけど?どうしてそんなことを」 「感謝の気持ちに、あっち着いたら神棚にでもお供えしようと思って」 「・・・」 「だから、供え物あったら勝手に食っちゃといてくれ」 「・・・誠一さん」 「ん?何」 「あなたの人生に幸あることを祈っております」 「・・・神様が祈るっておかしくね」 「揚げ足取らないでください!」 せっかく別れの言葉を言ったのに、まったくこの人は空気読まないで。 もうさっさと送っちゃえ。 不機嫌になりながらも転生の準備を済ませるハナミ。 準備もほぼ終わり、あとはボタンを押すだけである。 その時、誠一さんが私の方を向き、笑顔で言った。 「じゃあな、ハナミ様。運が良ければ、また会おう」 「・・・さようならです」 最後に言葉を交え、誠一さんは新しい世界へと飛び立った。
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