第1章

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白かったのだ。 全てが。 服や靴、身に着けている物は勿論、髪や肌まで。 唯一、瞳だけが吸い込まれる様な蒼さで。 体中が凍り付いたかの様に動かせなかった。 「いいえ、大丈夫ですよ。それよりも目はどうですか?」 その白い人(服からして女性だろう)の言葉でようやく体が動かせた。 まるで、世に言う金縛りだった。 「……っあ、もう痛くないですっ…すみません、ありがとうございました………」 そう言うのが精一杯だった。 そして、私は逃げるかの様に走って帰った。実際逃げたんだけど。 今思えばとても失礼だったと思う。 でも、あの人は何処の人だったんだろう。 真っ白な髪と肌からして海外の人っぽいけど、あそこまで白い人なんてテレビやネットですら見た事なかった。 まるで、アニメや漫画に出てくる天使とか神聖な感じの。 ………今でも良くわからない けれど、あの日私が彼女のハンカチで目わ拭いてから、私の目はこんな風になった。 それだけは事実だし、理解しているつもりだ。
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