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藁にもすがる思いで脳をフル回転させる陽太はベッドの上でもがき苦しむ。何も知らない人が見たら悪魔にでもとり憑かれたと思われてもおかしくないもがきっぷり。
やがてベッドから頭から落ちた陽太は、その拍子に自分が読むために床に置いてあった漫画に目を向けた。
「―――ッッッ!!!」
そこで一筋の光明を見た。一か八か、この状況を打開するためにはもう選ぶ余裕は無い。
陽太は電話をかける。メッセージで済むのにわざわざ電話をかける必死さ。
コール音が緊張を膨らませる。
そして……、
「…も、もしもし?ちょっとお話があるのですけれどよろしいでしょうか?」
冬火の掌の中で大人しくしてはいられない、だから陽太は最後の希望に全てを託すことにした。
――――――
待ち合わせは十時に駅前。五分前になったところですでに待ち合わせ場所にいた冬火はスマホのカメラで必死に髪型を整えて待っていた。
最も、それは集合時間三〇分前から続いているのだが。
青いショートカットの髪をポニーテールのようにしてうっすら化粧もした冬火の心臓はバクバク。何度も二人で出かけたことがあるが、今の冬火は意気込みが違う。
(こ、告白して初めてのデート……だ、大丈夫よ、どこに行くかはあらかじめスマホにメモしてきたし、選択肢も十分。無駄な時間なんて作ったりしないわ…!)
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