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家から弾けるように飛び出した俺はひたすら全力疾走していた。目的地など無く、ただ闇雲に走っていた。
夏氷だけじゃなく、姉ちゃんまで妊娠していた……てことは何か?俺は実の姉とソウイウ事をしちまったって事なのか?だとしても記憶にないんだけど!?
……と、とにかく落ち着くんだ。これはきっと何かの間違いだ。つーか夢だ。そうに違いない。
「あらっ、陽さま!こんな所でお会い出来るとは、なんと運命的なのでしょうっ!」
「ゆ、優理先輩!?」
ゴージャス感溢れるコートを着飾り、ウェーブのかかった白が少し混ざったグリーンの髪の美少女、岬ヶ花 優理(みさきがはなゆうり)先輩は明るい笑顔で俺に駆け寄ってきた。
「お嬢様、走ってはなりません」
「あっ、そうでしたわね」
お供の黒服黒サングラスの男に止められ、俺は小首を傾げる。
「体調でも悪いんすか?」
「いえいえ、体調は絶好調でございますわ!」
「そっか、ならいいん――」
「何せ、わたくしと陽さまの愛の結晶をこの身にいただきましたからね」
「……………………………………………………………………………………………………………………、今、なんと?」
顔中から変な汗が噴き出し、流れ落ちていく。そんな俺など気にも止めずに、優理先輩は両手を頬に当てながら体を振り、
「あんなに優しくされたのも、激しくされたのも、触れあったのも、愛し愛されたのも初めてでした。きっとこれは、神様からの贈り物なんですわ!」
「…………」
「早速ですが陽さま、今からわたくしと一緒に、わたくしのご両親に挨拶に行きましょう。これからの事を話し合わなければ……ウフフッ」
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