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三日ぶりに家にいる父にそんなことを言われ、冬火は顔に熱を籠らせながらもなんでもないと返す。なんでもないことはないのは明らかだから父はそう聞いたのだが。
「な、なんでもないから。ホントになんでもないから」
「そうか?ならいいけど、俺は少し寝るから出かけるなら戸締まりだけしっかりしといてくれ」
「う、うん。お休み」
夜勤明けということもあり父は欠伸をしながら自室へ向かっていった。今一度改めてスマホと向き合った冬火はもう勢いに任せるしかないとボタンをプッシュ、メッセージを相手である陽太へ飛ばした。
「おっ送っちゃった…!なんて返してくるのかしら、こ、断られたらなんて返そう…」
今さらすぎる悩みである。そうこうしているうちにメッセージに既読が付き陽太が見たことを把握。起きていることに安堵すると同時に不安になってしまった。
それから二分、じっとスマホのトーク画面を見つめて構えていた冬火の元に陽太からの返信が来た。
<(先約あるからすまんな)
「や、やっぱり赤頭と約束してたんだ。失敗かぁ……ん?でもそれにしては時間かかったわね」
既読から二分経っての返信がこれだけと言うのは時間がかかりすぎているのではないかと疑問に思った冬火。読んでたったこれだけの文ならすぐに送れるはずだが……と、ここで閃く。
「もしかして……嘘ついてんじゃない?これ」
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