冬火ちゃんの猛進撃

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最近攻めの姿勢で仕掛けて始めた冬火に対し、陽太は極力二人きりにならないようにと避けるようになっていた。二人きりになったらその瞬間冬火が誘惑攻撃をしてくるのだから警戒心が強まってもわかる。 だが致命的なことが一つ。陽太の避けるという行動が単なる照れ隠しだと冬火が思い込んでいることだ。 陽太に関しては彼女の夏氷がいる手前もあるしそもそもそんな誘惑に乗るわけにはいかないと意地になっている節もあるが、恋愛経験ゼロ、参考にする恋愛ドラマも女側から攻めて攻めての攻略的手段しかしらない。だからここで二人の思考に明確な食い違いが生じてしまっていたのだ。 「私を避けようとしてるし、返信に時間がかかってる……なるほど、二人きりが恥ずかしいのね…!」 「今の冬火と二人きりとか何されるかマジでわかんねえ……怖い」 食い違いはお互いに相手の思考がわからないからこそ生まれる物。 ということは冬火は陽太の考えなんて全く理解出来ていない。だから攻めてしまう。自分の勝手な解釈で再びメッセージトークが始まる。 「ホントに赤頭とデート行くのか確認しましょう!」 <(赤頭とどこか行く約束してるの?) 「ふ、踏み込んで来やがったか……嘘でもここはやり過ごすしかねえ…!」 <(映画見に行く) 「すぐ思い付く簡単な言い訳ね…普段のあいつなら理由とか言わないはずだし、やっぱり嘘なんじゃない?」
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