冬火ちゃんの猛進撃

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<(映画終わるのいつくらいなの?) 「やっべぇ……映画の内容とか時間とか聞いてくるより即既読二連発がやべえ…こいつ俺とのトーク画面開きっぱなしかよ…!」 <(いつ解散するかわからん。多分一日中遊ぶから) 「なるほどねぇ…本当なら確かに一日中になるかもだけど、もしあの赤頭とデートするって話が嘘だとしたら……まずはそこからはっきりさせましょうか」 しばしトークが中断された。その間思考し、冬火は陽太の退路を立つために別のトーク画面と陽太のとを行き来しながら会話を続けた。 「おっ…なんか話が逸れ始めたな。諦めてくれたか?」 逃走完了を目前にして陽太の口元に笑みが零れる。冬火には悪いがこればかりは仕方ない、二人きりは危険な匂いしかしないのだから仕方ないのだ。 申し訳なさを胸に抱きながらも返信を待った。そろそろ切り上げるかと考えた矢先、陽太の元に一通のメッセージが届いた。 「ん?夏氷から?」 冬火ではなく夏氷からのメッセージだった。内容を確認すると、陽太はギョッと目を剥き腰が跳ねた。 <(ごめん陽太!今日絵里たちと遊ぶことになったから今日は遊べない!) 「なっ何ィ!?ちょっと待てっ、辻褄が……あとから映画に誘うつもりだったのにこれじゃあ誘えないじゃねえか!」 愕然とする中冬火からの決定的なメッセージが叩き付けられる。 <(赤頭、友達と遊ぶみたいだけど?)
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