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(……なんで冬火がそのことを知ってんだ…?誰かに聞いたみたいな感じだけど夏氷本人に聞いたとは考えづらいし……そうか絵里さんか!冬火は絵里さんとは付き合いあるし、絵里さんから聞いたんだな!?)
しかしここで一つ疑問が。
(いや……でも待て、それなら夏氷の奴は昨日にでも連絡してくるだろ。しかもこの夏氷の文、急に決まったみたいな雰囲気がある…)
「………ま、まさかこいつッ…!?」
「―――フフン、うまく行ったわ」
そう、冬火は陽太とのトークと平行に絵里ともトークを開始していたのだ。夏氷が絵里たちと遊びたいとぼやいていたのは学校で聞いていたし、絵里も絵里で夏氷と遊びたいと言っていた。ならば陽太と夏氷のデートが真実か確認する手段として絵里に話を持ちかけたのだ。
絵里が断られれば真実、断られた理由も必ず聞き出せる。だがオーケーが出た場合、夏氷の遊びたいという言葉が本心であり約束など無かったとすれば夏氷は必ずイエスと答える。
全て冬火の思惑通りに事が進んだ。それにより陽太は完全に八方塞がりとなった。
(これで嘘は明白!さあ負けを認めなさい陽太っ!)
「ぐッ……こ、こうなったらもう……」
<(夏氷が忘れてたみたいだな)
<(じゃあ今日の予定空いちゃったわよね?)
<(まあ)
<(だったら出掛けない?嫌なら別に無理して誘わないけど)
ここで申し訳なさを添える。たったそれだけで陽太の断るという道さえも絶った。
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