冬火ちゃんの猛進撃

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にこやかに名前を間違える芽衣知。おかしい、ちゃんと名乗ったはずなのに何故かいらない文字が付いてやがる。 「私はまだあなたとは少ししか親しくないのです、だからまずは親しみやすく呼んでみようと思ったのですよ」 「だったら普通に陽太でいいだろ」 「もう私の中では陽太郎なのですよ。我儘はいけません」 「これ我儘か?……いや、まぁ名前なんてどうでもいい、お前なんでバイトなんかしてんだよ、確か自分の罪と向き合って自首するって…」 「はい、今現在向き合っているのです。私のやってきた救済活動は本当に間違っていたのか、それを社会の中にちゃんと入って考えているのです」 「………あれからはやってねえんだろうな」 「もちろん。今のところはどれだけ私を救ってくれても相手を殺してはいません」 「え?今この女殺しがどうのって言わなかった?」 「……冬火、凛子連れてゲーセンに行っててくれ。後から行く」 「…わかったわ。行くわよ穴堀り頭」 「ちょっと!?太陽みたいに私の髪形バカにしてない!?カールよカール!ねえ聞いてる!?」 凛子を引っ張ってゲームセンターの奥に行く冬火を見送り、俺は改めて芽衣知と向かい合う。 「社会勉強中、そういうことか?」 「はい。よければ少しお話しませんか?ちょうど休憩の時間なので」 「……、そこのベンチで待ってる」
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