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折り畳み式テーブル二脚を向い合せて、東西の中心人物が一同に会する。
東側が団長さんと副団長、そして俺。書記として月日さんが離れた所に座っている。
西側は雨音さんを筆頭に二名の男女が参席していた。
前置きの社交的な会話をそこそこに、団長さんが本題を切り出す。
「まず、情報の共有を図りたい。何があったのか、その経緯を詳しく説明してくれないか」
西陣営が小声でやり取りをする。雨音さんがその役割を引き受けた。
「発端は昨日の夕方にまで遡ります。ラジオ放送を終えて、帰宅の用意をしていた私たちの元に一人の男性が訪ねてきました」
長い間ラジオの話し手を務めているだけあって、その明瞭とした声は耳にすっと入ってくる。
「年の頃は私たちと同じくらいだと思います。『トオル』と名乗ったその男性は、西地区が『神託会』と言う大型の組織に狙われている事実を教える為に来たのだと言いました」
その男は組織の構成員を名乗り、『神託会』の危険性を説いたという。
「『死後の世界にこそ救いがある』なんて思想を掲げて、各地の集落を襲撃しては壊滅に追いやり、共感した人間を吸収しながら大きくなっていったって。今やその総数は300人にも上るそうです」
このご時世になんて数だよ。ノアですら東西合わせて200人程だぞ。
団長さんも困惑を隠せない様子で、口を挟む。
「その情報は確かなのだろうか」
「その時は半信半疑だったけど、今は確かです。命に絡む話だから無視できなくて、確認しました」
もしそこで、法螺話だと一笑に付していたら西の住民は一掃されていたのかも知れない。そう思うとぞっとしない。
「どうやって?」
「その男性に野営地まで連れて行って貰ったんです」
抜群の行動力だった。
「取材の時から思ってたけど、雨音さんって結構後先考えないタイプだよな……一歩間違えたら大変な目に合ってたぞ」
「先の事を考えてるからこそ、確かめる必要があったの。仲間として扱って貰ってたから、侵入自体は簡単だったよ?」
「それもあるけど、そういうことじゃない。もしその男が雨音さんを貶めるつもりだったら、同道した時点でアウトだった」
「それは、そうだけど」
口ごもる。その想定はやっぱり抜け落ちてたんだな。
「話を進めて貰ってもいいか」
団長さんが苦笑いを浮かべて言う。
「ご、ごめんなさい」
雨音さんが恨めし気な眼差しを向けてきたけど知らん顔。
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