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――それは、過去の大消失で見た光ととても良く似ていた。
窓を覆う遮光カーテンも、閉ざされた瞼も、関係なく……いや、そもそも、その圧倒的な光量の前では障害ですらなく、存在すらしていないのだろう。
光は眠っていた俺の眼球に突き刺さり、意識をサルベージする。
衝撃波を伴った爆音が届いて、建物が軋みをあげ、続けざまに大きな振動がやってきた。
飛び起きて、波打つような床をふらふらとした足取りで窓枠まで歩み寄る。小気味の良い音を立ててカーテンを開く。
その先に広がる光景に、俺は戦慄を覚えた。だって、それは。
「大消失……」
記憶にあるその光景と、今目の前にある光が同じ物に見えたから。
かつて、民間には秘密裏に、要人だけでも消滅から逃れる為に地球を離れようと、現代の技術を結集して宇宙を長期航行できる巨大な船が幾つも建造された。
その船が、轟音を響かせて世界中から一斉に飛び立ち、光に飲み込まれる末路を見た時に、初めてその脅威を実感として知覚した。
人物に関する記憶までも消える対象という消失<ロスト>の性質上、違和感を抱きつつも消滅<ロスト>の存在を噂程度にしか捉えていなかったんだ。
消滅を知らしめた光。目の前に広がる青白い光は、その時の記憶を鮮明に呼び起こさせる。
最初ほどの強烈さは無いとは言え、眩しさに目を眇めた。
「あっちの方向にあるのは、セントラルか?」
セントラルとは、簡単に説明するとこの日本都市の衣食住を支える重要な施設だ。以上。
「もし、あの光が大消失で見たものと同じ機能を持っているなら」
そこに在る物を全て消す類の性質があるなら、それって結構看過できない状況なんじゃないだろうか?
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