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でも事実『外部の狂乱者』は鎮圧されたようだった。
眉唾だと一蹴するにも、その根拠の方がない。だからここは、西側にも東側の自警団にあたる組織があるものとして認識しておく。
緊張状態が続くと、狂乱者になりやすい。その点を考えると、その組織が提供している安心は侮れない。下手をすれば、此方の自警団よりも信頼されている。
「外部の狂乱者、大消失の光、ラジオ、謎の組織」
点と点を結ぶと何か像が見えそうで、見えない。
「同時期に発生したからと、全て関連している一個として考えてしまうのは良くない」
「それは、解っているつもりなんですけど」
「『大消失の光』なんて不安を煽るものを目撃してしまった後では、神経質になって些細な出来事に事件性を見出してしまうのも無理はないが……それも良くない兆候だ」
最もな指摘にぐぅの音も出ない。
大消失の光については勿論の事だけど、先程のラジオの声が耳に残っている。悲鳴とは違うけど、切羽詰まったような。
手違いがあって機材の電源が入り、それに気付いた誰かが急いで停止させたのだと、平和的な解釈をすることもできる。
むしろ、そっちの方が自然だ。俺は、無意識に『大消失の光』に寄せて物事を考えてしまっているのかも知れない。
「君の懸念を具体的な形にしてみよう。要するに、西側が『大消失の光』のような超常的な何かによって窮地に陥っている可能性がある、ということだろう?」
言葉にされると、俺の不安が余計にバカらしく映る。だと言うのに。
「もし、そのような大事が起きているのなら、それは看過できる事ではない」
「いや、実際に進行中ならそうですけど……そもそも調査するにしたって、今は深夜の件の対応で手一杯ですよね」
ただでさえ自警団は人数が少ない。通常の業務である見回りだって行っている。
「その通りだが、並行して行えない訳でもない。タイミングが良かった」
詰め所から出てきた月日さんと目が合う。荷物を背負っていた。お辞儀をされたので、お辞儀を返す俺。
「これから月日<オチフリ>がセントラル近辺の調査に向かう予定だ。何も問題がなければ、そのまま西側にも足を伸ばして貰おうと思う」
東と西の真ん中辺りにセントラルがある。そういう配置になるように街が作られたのだろう。
「お前にばかり負担を掛けて申し訳ないが、引き受けてくれるか?」
月日さんは間髪入れずに頷いてみせた。
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