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-Another side-
日本都市からやや離れた所にある教会の懺悔室で、二人の人間が密談を交わしていた。
「手駒にならないのならば消す。シンプルな方法だが、選別にはちょうどいい」
体中に開けた穴にピアスを嵌めた軽薄な出で立ちをした男の報告を受けて、重苦しい声で呟いたのはローブのようなもので顔まで隠した青年だ。
その視線の先には、無残な姿で横たわる女性の姿がある。
「野蛮な手段はワタシの望む所ではないが、是非もない」
「お? じゃ、やるんすか?」
「『神託会』の総力を挙げて、日本都市に侵攻する」
「了解。んじゃ、おれんとこの手足を先行させて情報収集させとくっす」
「龍、オマエの働きには期待している」
「へいへい。神也さんに隷属させられてる以外は悪い待遇じゃねーんで、おれもそれなりに励ませてもらいますよっと」
日本都市西地区が謎の集団の侵略を受けたのは、この日から僅か五日後の事だった。
-Side return-
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