2-2

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-Another side- 野営の為に設置されたテントの内部で神託会の首脳陣が顔を突き合わせている。 顔までローブで覆った男はリーダーの神也。それぞれ自由に動かせる手駒を抱える幹部達が4名だ。 神託会の幹部は5名だから、幹部1人の席が空いている。 彼等は現在、東地区侵攻作戦の細部を詰める会議の最中だった。 「昨日までにおれんとこの手足に伝えさせた成果については、改めて話さなくてもいいっすよね」 最初は否定の意を唱えた者が1人居たが、それぞれが肯定を示す言動をすると主張を引っ込める。 「んじゃ、新情報の報告をば。住人達なんすけど、遠方への避難じゃなくて牢獄ってトコに立て篭もったみたいっす」 「籠城を選択したか。面倒だな。内部の構造はどうなっている?」 「さーせん! 警備があったんで、そこまでは調査できませんっした。言い訳になっちゃうんすけど、狂乱者? だったけ。まぁ、罪人を閉じ込めておく場所らしいんで、優先度が低かったんす。まさかそんな所に避難するとは思わないっすよね、普通」 平謝りする龍に、兎を象る耳の付いたフードを被った少女が「龍は無能なのデス」とこれみよがしに叱責の言葉を投げた。 「一人だけ昨日までの報告を望んだバカに無能呼ばわりはされたくないっすね」 「じゃれ合いは後にしろ。任務の首尾はどうなっている? オマエの立場で内部に潜り込めないのか」 「厳しいっすね。今の所は警戒心むき出しって感じなんで」 「そうか。他にはあるか」 「無関係かも知れないっすけど、例の任務に励んでいる時に気になる事があったんで、事情を知ってそうな奴を締めあげて聞き出したんすけど」 「勿体ぶるな、龍。疾く話せ」 「へーい。どうやら、あっちには思考を読む女が居るそうなんすよ。罪人として例の牢獄とやらに捕らえられているらしいんすけど」 「その女に『リベリオン』との接点は……なさそうか」 味方なら救出しているだろうし、敵ならとっくに葬られているだろうと神也は一人でに納得した。兎だけ、目を点にして首を傾げている。 「聞いた話が本当なら、対面するだけで頭の中身が筒抜けになるらしいんで、幹部連中は特に注意するっすよ」 神也はひとしきり黙考して、結論を告げた。 「予定の時間に動いて反応を見る。異存がある者は?」 -Side return-
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