第1章

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体育がある日はダルい。 特に暑い日はダルさも倍増だ。 「炎天下で体育ってどうよ?」 由紀ちゃんがブツブツ言い、わたしは笑いながらも、視線は佐藤くんを探している。 お互い体操着に着替えて、体育。 女子も男子も走りでタイムを記録。 わたしのもっとも苦手な部類だ。 佐藤くんは足が速くて、羨ましい。 長い脚も、羨ましい。 ほどよくついた筋肉も、羨ましい。 「美夏~さっきから佐藤観賞会か?」 耳元でボソボソと言われ、思わず抗議する。 「由紀ちゃん~」 「ハイハイすみませーん」 「佐藤に木村! そこ遊んでないで走れ!」 先生に見咎められ、ふたりして走る。 「由紀ちゃん、先に行ってていいよ。わたしのペースで走るから」 「了解」 笛がなり、わたしたちは走り出した。炎天下の走りはキツイ。 でも、最後まで走りたい。 由紀ちゃんは部活の走りこみのおかげか、はるか彼方に行ってしまった。 わたしはもくもくと走る。 あと少しで終わりというところで、わたしは転んでしまった。 「痛ッ」 「美夏!」 とっくに走り終えてた由紀ちゃんが慌てて駆け寄り、先生も「大丈夫か」と近くに来た。 立ち上がって、大丈夫ですと言おうとした時、足首が痛んだ。 「痛い」 わたしの言葉に先生が足を触ろうとした時、佐藤くんの手がヌッとでできて、先生より先にわたしの足に触れた。 「捻った?」 先生に向かって佐藤くんは、 「オレ、保健室連れてきます」 わたしをゆっくり立たせると、 「歩ける?」 と、聞いてくるので思わず頷いてしまった。 「先生、いいですよね」 佐藤くんの言葉には有無を言わさない迫力があって、先生も戸惑うように頷いていた。 「頼めるか」 「はい」 佐藤くんはわたしに向かって 「腕かすから捕まっていいよ」 って言うから、躊躇いながらも捕まらせてもらいながら歩いた。
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