第1章

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保健室に行くまでの道のりが遠く感じた。 わたしの歩みに付き合ってくれてる佐藤くんは、人気がいなくなると突然、 「この方が早い」 と、わたしを抱き上げスタスタと歩き始めた。 わたしは真っ赤になりながらも佐藤くんに言う。 「佐藤くん、わたし重いし恥ずかしいから」 「ダメ却下」 「え?」 「佐藤の足、腫れてきてるし、歩くのしんどいだろうから。それに佐藤は重くない」 言って、気がつけば保健室についていた。 「先生、急患」 「あらどうしたの?」 「走って転んで足首痛めたみたいなんだ。みてくれ」 女医の先生のひやりとした手が触れる。 「あぁ、捻挫ね。湿布貼ってあげるわ」 テキパキと処置を終えた頃には、湿布の冷たさが足首に心地よかった。 先生にお礼を言って、保健室を後にした。 わたしは真っ赤になりながらも、佐藤くんの目を見てお礼を言った。 「佐藤くん、ありがとう」 「あぁ。帰りは送っててやるよ。オレ自転車だし」 「わ、悪いよ」 「いいんだよ。オレがしたいだけなんだから」 あまりの急な申し出に戸惑いながらも、その時のわたしはドキドキ過ぎて佐藤くんの申し出を素直に受け入れていた。 「お願いします」 そう言うと、佐藤くんははじめて嬉しそうに笑った。
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