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「は? 佐藤に送ってもらう」
由紀ちゃんが保健室から帰ってきたなり、そうゆう事になったと伝えると、ニヤリとされた。
「やるな美夏。ついに告白~」
「違います。佐藤くんは親切心で、わたしはそれに甘えたの」
「ほほぅ、甘えたのか~」
由紀ちゃんの言葉に顔が熱くなる。いじわる由紀ちゃん。
プイって横を向くと、由紀ちゃんは頭を撫で撫でして、ごめんごめんと謝ってきた。
「ふたりで帰るのか。恋が進展する事を祈る」
「しないよ」
「わからないぞ」
と、その時、教室の入口にカバンを持った佐藤くんの姿。
「佐藤、帰るぞ」
「あ、はい」
言いながらわたしの顔は真っ赤に染まっている。だって、足首と同じくらい頬が熱い。
「気をつけてな~ 佐藤、美夏をよろしくお願い」
「おまえによろしくお願いされなくても、ちゃんと送るって」
「だって」
由紀ちゃんがウィンクしてくる。
わたしはカバンをもって、
由紀ちゃんに「またね」と手を振った。
佐藤くんの側にいくと、手を出されカバンと催促された。
どうやらカバンを持ってくれるらしい。
遠慮しよと思ったところに、佐藤くんの申し出。
「好意は素直に受け取るべし」
「ウッ…お願いします」
「よし」
自転車置き場まであるけるか不安だったが、佐藤くんに抜かりはなく、先に行ってとってきたらしい自転車を。
「ありがとう」
前カゴにカバンがふたつ。大きな荷物になってしまった。
「後ろに座れるか?」
「大丈夫」
わたしは脚を揃えて横に座って、体は前を向いた。
「佐藤おれのウエストにつかまれよ」
「へ?」
「危ないだろうが」
「でも」
「でもじゃない」
「ハイ」
おそるおそる佐藤くんのウエストに両手を添える。
「佐藤しっかり捕まってろよ。ま、安全運転するけど」
「ハイ」
思わず声が裏返る。
くつくつと佐藤くんの笑い声が響いて、なんだか真っ赤うえにくすぐったい気分だった。
「じゃ、出発するぞ」
佐藤くんの声で自転車は走り出した。
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