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誰だってコンプレックスのひとつやふたつは、ある。
わたし、佐藤美夏は極度の恥ずかしがりなこと、それに伴う顔の赤み。
通称トマトちゃんがわたしのあだ名だ。
わたしはこのあだ名が嫌で恥ずかしが、友達の木村由紀から言わせれば可愛いとのこと。
ひとのコンプレックスってわからない。
ちなみに由紀のコンプレックスはソバカスだ。テニスをしているので、直射日光と反射日光のダブル攻撃の結果だと、本人は言っているが、明るい性格のためか、特に気にならない。
コンプレックスって本人の意識の問題。
「佐藤」
急に声をかけられて、わたしはビックと体を震わせた。
すると呆れたように佐藤くんが苦笑している姿が見えた。
「お前、今日オレと日直忘れてるだろう?」
言われて、わたしの顔は真っ赤に染まる。
「ち、ちがうよ。覚えてるよ」
「なら、なんで真っ赤なわけ?」
「そ、それは」
貴方が好きだからとは言えない。
同じクラス二年目なのに、わたしの恥ずかしがりは消えるどころか、更に加速していた。
佐藤要によって。
「ち、ちゃんと覚えてるよ」
「ふーん。トマトちゃんは健在か」
ズキリと胸が痛むが、それより日直の仕事が先だ。
「ノートわたしが書くよ」
「お、サンキュ」
佐藤くんからノートを受け取って、シャーペンを筆箱から取りだす。
今日の出来事を思い出し簡潔に書こうとした時、佐藤くんがじっと見てる気配を感じおそるおそる顔をあげた。
「おまえ、まだ慣れないの?」
「え?」
何気に言われた言葉にパニックになる。
顔が熱くなる。
「あの?」
「気にすんな」
佐藤くんは呟いて、ちょっと横を向いた。
何が慣れないんだろう?
わたしの頭の中ははてなマークいっぱいだったが、佐藤くんをちらりとみると別に怒ってるとかはない。
なんだろ?
心の中をはてなマークいっぱいにして、わたしは取り敢えず日誌であるノートを書き終えた。
書き終えた日誌を先生のところへ、提出して終わった日直。
佐藤くんが
「オレ先に帰るな。悪い」
言ってきたので、わたしはぶんぶん頭を振りながら
「大丈夫だよ」
「またな、佐藤」
片手をあげてさって行く。
その姿に好きだなぁと思いながら、
また顔が熱くなってる。
わたしトマトちゃんこと、佐藤美夏の恋は見てるだけで終わりそうです神様。
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