第1章

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誰だってコンプレックスのひとつやふたつは、ある。 わたし、佐藤美夏は極度の恥ずかしがりなこと、それに伴う顔の赤み。 通称トマトちゃんがわたしのあだ名だ。 わたしはこのあだ名が嫌で恥ずかしが、友達の木村由紀から言わせれば可愛いとのこと。 ひとのコンプレックスってわからない。 ちなみに由紀のコンプレックスはソバカスだ。テニスをしているので、直射日光と反射日光のダブル攻撃の結果だと、本人は言っているが、明るい性格のためか、特に気にならない。 コンプレックスって本人の意識の問題。 「佐藤」 急に声をかけられて、わたしはビックと体を震わせた。 すると呆れたように佐藤くんが苦笑している姿が見えた。 「お前、今日オレと日直忘れてるだろう?」 言われて、わたしの顔は真っ赤に染まる。 「ち、ちがうよ。覚えてるよ」 「なら、なんで真っ赤なわけ?」 「そ、それは」 貴方が好きだからとは言えない。 同じクラス二年目なのに、わたしの恥ずかしがりは消えるどころか、更に加速していた。 佐藤要によって。 「ち、ちゃんと覚えてるよ」 「ふーん。トマトちゃんは健在か」 ズキリと胸が痛むが、それより日直の仕事が先だ。 「ノートわたしが書くよ」 「お、サンキュ」 佐藤くんからノートを受け取って、シャーペンを筆箱から取りだす。 今日の出来事を思い出し簡潔に書こうとした時、佐藤くんがじっと見てる気配を感じおそるおそる顔をあげた。 「おまえ、まだ慣れないの?」 「え?」 何気に言われた言葉にパニックになる。 顔が熱くなる。 「あの?」 「気にすんな」 佐藤くんは呟いて、ちょっと横を向いた。 何が慣れないんだろう? わたしの頭の中ははてなマークいっぱいだったが、佐藤くんをちらりとみると別に怒ってるとかはない。 なんだろ? 心の中をはてなマークいっぱいにして、わたしは取り敢えず日誌であるノートを書き終えた。 書き終えた日誌を先生のところへ、提出して終わった日直。 佐藤くんが 「オレ先に帰るな。悪い」 言ってきたので、わたしはぶんぶん頭を振りながら 「大丈夫だよ」 「またな、佐藤」 片手をあげてさって行く。 その姿に好きだなぁと思いながら、 また顔が熱くなってる。 わたしトマトちゃんこと、佐藤美夏の恋は見てるだけで終わりそうです神様。
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