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「美夏、さっきの気にしなくていいからね」
授業が終わるとまっさきに由紀ちゃんがやってきて、慰めにきてくれた。
「うん」
由紀は小声で
「佐藤に見とれてたでしょ」
ストライクの言葉を言う。
わたしは顔を真っ赤にしてそれを肯定してしまう。
「うんうん。青春してますな」
「由紀ちゃん!」
「ハイハイごめんなさい」
由紀ちゃんは舌をペロリと出して謝った。
「でもさ、見てるだけでいいの?」
「うん。見てるだけで精一杯なんだ」
「いじらしいのぅ」
由紀ちゃんは抱きついてきて、頭を撫で撫でしてくれる。くすぐったくて自然と笑みがもれる。
そんなわたしの姿を佐藤くんが見ているなんて、この時のわたしは知りもしなかった。
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