第1章

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「ダブル佐藤、ちょっと手伝えや」 世界史の先生のご指名で、佐藤くんと世界地図の張り替えを行う。 もうわたしはドキドキしぱっなしで、顔はトマトのごとく真っ赤に違いない。 世界史の先生の部屋に二人きっり、ドキドキしない方がおかしい。 「あ、佐藤くんもう少し右」 「ん」 壁に張り替える世界地図は思ったほど大きくて、ひとりじゃ無理。 わたしが指示をだしながら佐藤くんが背の高いのを幸いして、器用に貼ってゆく。 「こんなもん?」 「うん。大丈夫かな」 張り替えが終わった頃、先生がきてお疲れとオレンジジュースを二本置いてゆく。 「助かったわ、ダブル佐藤。これ礼な」 佐藤くんは素直に「ありがとうございます」と言ってジュースを二本とり、一本をわたしに向かって渡してくれた。 「ほれ、佐藤も」 「あ、ありがとう」 「それ先生にいわなきゃ」 「あ、そうだね」 わたしの心はドキドキしながら、先生にお礼を言った。 先生は軽く手をふって「気にするな」と笑った。
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