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世界史室からの帰り道、佐藤くんが言った。
「おまえ木村となら笑うんだな」
「え?」
意外な言葉に黙ってると、佐藤くんはオレンジジュースを片手に、
「オレの前でも笑ってみせろよ」
と、言った。
言われてる意味を理解するまで数秒。
わたしは全身が真っ赤になってるんじゃないかっていうくらい、身体が熱くなった。
「だ、だから」
佐藤くんと二人きりの廊下で、佐藤くんに言われた言葉が、わたしをトマトちゃんにする。
「あーなに言ってるんだか、オレ」
佐藤くんを見ると佐藤くんも真っ赤な顔をしていて、ふたりで真っ赤になりながら廊下に立ちつくしてた。
「おまえの真っ赤になってる顔もいいけど、笑ってる姿もいいんだよ。だから」
佐藤くんは意を決したように、もう一度、同じ言葉を繰り返した。
「オレの前でも笑ってみせろよ」
由紀ちゃん、こういう時、どうすればいいの?
わからないまま、わたしは佐藤くんに向かって
「うん」
と頷いた。
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