第1章

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こないだの世界史室の廊下の出来事を、由紀ちゃんへ言うと、口笛が聞こえた。 「 佐藤やる! 美夏、これはみゃくありかもよ。ってかあるでしょう!」 「由紀ちゃん、声大きい」 佐藤くんがどういう意味で言ったにせよ、わたしの中ではあまり期待しちゃいけない鍵がかかってた。 「期待してると怖い」 「よしよし。美夏のハートはか弱いからな」 言って、由紀ちゃんは頭を撫で撫でしてくれる。 「でも、普通は気にならない女子に言う言葉じゃないよ」 「そうかな?」 「そうだよ。恋愛のスペシャリストが言ってるんだもん」 「それって本の中だよね」 「本の中でも学べるものなんだよ美夏」 由紀ちゃんの恋愛小説オタクは物凄くて、ある意味で尊敬にあたいする。 「お、噂をすれば、佐藤じゃん」 言われて、ドキッとする。 また顔が赤くなっているのがわかる。 「おい、佐藤」 由紀ちゃんが佐藤くんを呼んで、ギョッとする。 「ゆ、ゆきちゃん~」 「なんだよ」 佐藤くんはわたしの方を見ないで、由紀ちゃんに話かける。 由紀ちゃんは飄々と 「おはよ。今日も一日頑張りましょう」 「はぁ」 佐藤くんは呆れたように由紀ちゃんを見て、ふいにわたしを見た。 「お、おはよう」 「おぅ」 心なしか佐藤くんの声が上ずって聞こえるのは、気のせいだろうか? 「美夏も言ったれや」 「え? あの…その、頑張りましょう」 言うなり、佐藤くんに頭を撫でられた。 「お互いにな」 もうビックリして、ドキドキが止まらない。撫でられたところをそっと触れる。 由紀ちゃんに撫でらるのとは、違う心地良さに顔が真っ赤になった。 その後、ずっとわたしの心の中は佐藤くんの撫で撫ででしめられていた。
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