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こないだの世界史室の廊下の出来事を、由紀ちゃんへ言うと、口笛が聞こえた。
「 佐藤やる! 美夏、これはみゃくありかもよ。ってかあるでしょう!」
「由紀ちゃん、声大きい」
佐藤くんがどういう意味で言ったにせよ、わたしの中ではあまり期待しちゃいけない鍵がかかってた。
「期待してると怖い」
「よしよし。美夏のハートはか弱いからな」
言って、由紀ちゃんは頭を撫で撫でしてくれる。
「でも、普通は気にならない女子に言う言葉じゃないよ」
「そうかな?」
「そうだよ。恋愛のスペシャリストが言ってるんだもん」
「それって本の中だよね」
「本の中でも学べるものなんだよ美夏」
由紀ちゃんの恋愛小説オタクは物凄くて、ある意味で尊敬にあたいする。
「お、噂をすれば、佐藤じゃん」
言われて、ドキッとする。
また顔が赤くなっているのがわかる。
「おい、佐藤」
由紀ちゃんが佐藤くんを呼んで、ギョッとする。
「ゆ、ゆきちゃん~」
「なんだよ」
佐藤くんはわたしの方を見ないで、由紀ちゃんに話かける。
由紀ちゃんは飄々と
「おはよ。今日も一日頑張りましょう」
「はぁ」
佐藤くんは呆れたように由紀ちゃんを見て、ふいにわたしを見た。
「お、おはよう」
「おぅ」
心なしか佐藤くんの声が上ずって聞こえるのは、気のせいだろうか?
「美夏も言ったれや」
「え? あの…その、頑張りましょう」
言うなり、佐藤くんに頭を撫でられた。
「お互いにな」
もうビックリして、ドキドキが止まらない。撫でられたところをそっと触れる。
由紀ちゃんに撫でらるのとは、違う心地良さに顔が真っ赤になった。
その後、ずっとわたしの心の中は佐藤くんの撫で撫ででしめられていた。
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