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その夜、私は家で先生から借りた漫画を読んでいた。
「葵の上かわいそうだな…」
そんなことを思いながら開くのは若紫との出会いのシーン。
「あっ、これって…!」
舞い散る桜、逃げ出すスズメ…。
まさに私が感じた『春』だ。
「あれ、なんだろ、この紙…」
そこには崩した字でケータイの電話番号とアドレスが書いてあった。
「気が向いたらメールして」
さらさらと流れるような字は先生を表しているような気がした。
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