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「お前、昨日アイツと会ってただろ?」
長い年月とは恐ろしいものだ。
「う、うん…、でも、そんな私はこれ以上関わんないつもりだし…」
「うそだな。だって香もなんかアイツに渡してたの見えたし。なんか借りてんだろ?」
見えて欲しくないものまでも相手の心に映し出してしまう。
「アヤには関係ないよ」
「関係なくない。アイツ、危険な香りがする」
それは私も思っていた。
人を惹きつける香りだろうか、まるで生まれながらに良い香りがしたという、薫の君のように。
甘く、危険な香り。
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