焦がれる想いに身を灼いて

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部屋の中にあるものは 何でも二つずつ 使い手のいない 片方の日用品を見て 涙が溢れてくる あの人が使っていたものには いつの間にか埃が被っていて 別れてからの期間の長さを 私に教えようとしているよう それでも受け入れられない 別れは夢の中の出来事で 目が覚めたらまた 目の前にあの人がいてくれる 心のどこかで そんな期待を抱いているから 使い手がいなくなった 埃を被った日用品 あの人が帰って来たときのため 新しいものを買っておこう 往生際の悪い私はまだ あの人を諦めきれないでいる
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