第1章

14/50
前へ
/50ページ
次へ
~~~~ 歩と待ち合わせしたところに到着し、辺りを見回す。 取り敢えず歩の姿は見えない。 オレより早く出たのになんでいないんだよ。 そう思いながらベンチに腰掛ける。 ふと、ケータイで時間を確認すると時刻は午前10時になっていた。 待ち合わせ時間に現れないとはあの女は何を考えているのだろうか? 第一、オレより早く出たんだから普通はオレより早く着いているはずだろうに。 「ごっめーん、お待たせー!」 やっと来たか。 「遅いーー」 そう言いながら声の聞こえた方を見ると違う女が彼氏らしい男に謝罪していた。 ため息を吐く。 ーー歩遅いなあ…… 「お待たせー、待った?」 ああ、また思い違いだろうか? そう思いながら振り返るとそこには歩が立っていた。 その歩の服装を見てそれが妥当だと思う。 歩は白いダウンを着て、下はルージュ色のぴったりしたGパンを穿いていた。 後は、オレがあげたハートのネックレスが丁度良いアクセントを付けている。 「それなりに待った」 「春秋君、そこは『今来たところだ』と言うのよ」 「ああ、済まない。今来たところだ」
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

41人が本棚に入れています
本棚に追加