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取り敢えずこう答えておこうか。
「オレの事好きか?」
これなら会話を逸らす事が出来るだろう。そしてそのまま話を変える。
「えっ?」
歩はビックリした後、もじもじし始めた。どうやら効果はあるようだ。
それも仕方ない。急に自分の事好きかと訊かれたら誰でも驚き恥じらう。とは言ってもそれなりの親密度は必要だけど。
「そ、それは……その…」
よし、これで話を変える事が出来るのは確定した。
「好き……だよ…」
うん、思ったどおりの反応が来た。
「オレも好きだ」
オレは最近まで歩の事が好きなのかどうかが分からなかったが、つい先日そうだと気付いた。だから普通にそう答える事が出来るようになった今、これは大きな進歩だと思う。
「はう……」
更にもじもじし始める歩。これはかなりの効果があったようだ。だがこれ以上好意を知らせるわけにはいかない。
「という事でオレは二度寝するから、もう部屋から出て行ってくれ」
「う、うん……」
歩は頬を赤くしながら無言で部屋の扉まで向かい、扉を開ける。
「じゃあ10時に駅前で待ち合わせね!」
畜生、覚えていたか!
「ああ、分かった」
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