第1章

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幼なじみの優。 私にばかり嫌がらせしてくるところが大嫌い。 家が近所で幼稚園から大学まで全て一緒。 何の嫌がらせ? 奴とは運命の黒い糸で結ばれている気さえ感じる。 奴は大学生になった今でも嫌がらせばかりしてくる。優しいと書いて「優」どのへんが? 「大人になったら結婚しようね」 幼稚園児なんてこんなものだろう。何も考えずこんな約束をしてしまった、まさにこの時から全ては始まったと思う。 それでも、今思えばあの頃はまだ優しかった気がする。 私の記憶で奴が意地悪になっていったのはたしか中学生の時だったと思う。 家が近所というのは面倒なもので、お互いの行動が全て筒抜けになる。 「どうやったらそんな点数とれんの?」 「追試楽しそうだな、俺も受けてみたい」 奴は決まって面白そうに嫌味を言う。 私の成績を奴に教えたことないんだけど? 「人の不幸は蜜の味」とは 奴が考えた言葉なんじゃないかと思う。 奴は私をイラつかせるためだけに存在しているに違いないと本気で思った。 奴が勉強に関して要領の良いこと勿論だが世の中の上手い渡りかたもこの頃から身につけていた。 要するにずる賢い。 奴は近所では評判の好青年で通っていた。 そんなのは表向きの顔で本当は人として色々欠落してるんですよー! と私が言ったところで信じて貰えない。 特に私の母は奴を気に入っていた。 好青年の仮面を着けた悪魔にまんまと餌食にされた母にこういう嫌がらせをされた、と説明しても「仲がいいのね」くらいにしか思わない。 私は楽しい青春を謳歌したいんだ! 高校生になって私に初めての彼氏が出来たとき、奴は色々邪魔をしてきた挙げ句、彼に私が奴のことを好きなんじゃないかと疑われ振られた。 それからと言うもの、私に彼氏が出来そうになると邪魔が入り、影では実はあの2人は付き合ってるんじゃないか疑惑が流れ、高校時代は彼氏どころか男友達でさえ居なかった。 私が不幸になる原因は決まって奴だった。 そんなこんなで私の高校生活は不幸になっていく一方で奴は私を不幸にすることに楽しさを見いだしていた。 後々発覚したのだが、私達が付き合っているんじゃないか疑惑は奴が流した噂だと知った。 奴と一緒にいては全力で不幸にされると思い絶対に大学は違う所にする! と言う目標を立て、私は高校時代の青春と言うものは捨てた。
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