第1章

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私は自分が頭が良くないことは充分理解していたので一般試験は無理だと悟り、指定校推薦を狙った。 実行委員会や校外ボランティア、部活動など勉強以外で頑張った。 そして、めでたく12月に大学が決まり、奴はきっと、遠くの有名大学へ行くのだろう、と勝手な思い込みで確認もせず、近場のそこそこな大学を選んでしまったのは人生最大の汚点だ。 青春の全てを費やし、奇跡的に受かった大学で 私は奴に縛られることなく楽しいキャンパスライフを送ろう!と思ったのも束の間。 母親同士が一緒に入学式に行こうと約束していたことを知ったのは当日の朝だった。 私は入学式当日まで奴の大学を知らなかった。 どうして、今の今まで教えてくれなかったのかと問いただしてみても母は当然知っているものかと思ってた、の一点張り。 母は私達が仲が良いと信じて疑わないからだ。 いや、でも流石に私も当日まで確かめないとかそこまであほじゃないって。 入学式までの間に何度か本人に確認しようと思った。 しかし、 「優は今都内の親戚の所にいるの」 と奴の母が言っていたため入学式まで聞くタイミングが一度たりともなかった。 電話すればいいじゃん、と思うかも知れないが私は奴の連絡先を知らない。 正確には交換しようと言われたが、奴に私の番号を教えたら何かされるに違いないと思い、全力で拒否をした。 都内にいるのは大学の為の引っ越しの準備をしているのだと都合の良いように変換した私の頭はやっぱりあほかもしれない。 単純に長期で遊びに行っていただけだった。 入学式に結局一緒に行く羽目になったため 「なんで教えてくれなかったの!?」 と聞いても 「びっくりさせようと思って」 「なんで、この大学なの!?」 と聞いても 「近かったから」 いやいや、絶対私を不幸にするためだよね!? と思ったのも鮮明に覚えている。 そして、まさか学部まで同じと知ったときには絶望感しかなかった。 頭だけは良いんだから違う大学いけよ!!
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