第4章

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「ずるい人、です。」 扉を開けて、僕が愛里ちゃんから言われた言葉は非難だった。 いつもは…挨拶なのに…何があった? プイっと顔を背け、曽根さんの元にいく彼女は…少しだけ辛そうに 「アタシは…酷いヤツ…。」 小さく呟いた。 よく解らないが…彼女の中で何か大きな変化が起きたみたいだ。 曽根さんの同居人としか思われてなかったはずなのに…。 僕はまたコーヒーを淹れる。 どうやら…僕のこのドロドロした中身が彼女にバレてしまったみたいだ。 クスッ… 面白いな…夜の曽根さんを彼女が知ったら…。 イヤ…ダメだな… 「一つぐらい…僕が手に入れてたって良いよね…。」 僕はお喋りな手の踊りと軽やかな笑い声を遠くで感じながら… カップにコーヒーを注いだ。 途中まで持っていくと…いつものように愛里ちゃんがカップを受け取り、 曽根さんに渡す。 「美味いな…。」 一口飲んで、美味いというのもいつものこと。 ただ…いつもと違うのは愛里ちゃんが悔しそうな顔をしていたこと。 でも…僕にはもうすぐ関係なくなる…。 もう少しで曽根さんは僕から解放される…。 「それまでは…君には渡さない…。」 誰にも聞こえないように、小さく呟いた。
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