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とうとう…その日が来た…
それは、やっと…という想いと、もう…という想いを僕にもたらした。
音もなく…不思議としなやかに動く曽根さんの指先が最後の部品に触れた。
この人の指は…こんなにしなやかに動いていただろうか…
僕の知らない時間に、曽根さんの指先は…無骨さを失いつつあった。
気付いたのは夜の出来事…。
滑らかに動く指先が…僕の体に触れたとき…
いつものように、僕の行為に抗う指先が…
音楽を紡ぐような滑らかな指の動きに僕は激しく興奮した。
ただの無骨な職人の手が気がつけば…あの頃の
僕が憧れた美しさを取り戻しつつあったのだから…。
嬉しかった…あの頃の貴方に触れられた事が
憎かった…貴方のその指先が僕によって変えられたものでない事が
愛情と憎悪で…ドロドロにして、気を失うまで追い詰め…追い詰められて…
眠りにつくのが、この人の夜の姿。
僕しか知らない…そう思うと、
愛情か憎悪かわからない炎が僕を熱くさせた。
そんなあの人の指先が、最後の部品を持ち上げて、反対の手の平にのせる。
じっと見つめ…静かに頷いた。
「いい…出来だ…。」
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