第4章

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様子がおかしい…。 夜のあの子は、飢えた獣の様に俺を追い詰めて、 抵抗も懇願も… あの子の嗜虐心を煽るだけだった。 なのに… 今日は… まるで無垢な花嫁に触れるように… 優しく 愛しく 大切だと全身で伝えてくるようだ。 止めてくれ… これは復讐だろう? どうして… 俺を傷付ける為だろう? 優しく抱きしめないでくれ… 口付けが甘く感じるなんて… 勘違いしてしまう… 許されていると 愛されていると 勘違いしてしまう。 あの子はいつも…俺を後ろから抱きしめ、囁く。 何度も…何度も… 「…。」 「…。」 囁く言葉が…怖くて聞けない…。 これ以上… 責め苦は無理だ… これ以上は… 心がもたない… けれど… あの子は、俺に…向き合わせる…。 この耳が… 最後に聞いた声と…向き合わせる。 「人殺し!お前が…お前さえいなければ…この人殺し!」 その声の主と 対面する事が…俺の贖罪だと あの子が告げる。
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