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「軽部…哲人…。」
思わず…名前を呟く。
あの子…いや、哲人はほんの少しだけ嬉しそうに瞳を揺らして…
はい…と返事をした。そうして…
「やっと…名前を呼んでくれましたね…。こんなに嬉しいなんて思いませんでした。
さぁ…
先にシャワーを浴びてください。祖父に会いに行きましょう。」
哲人は…俺を部屋から追い出し…その扉を閉ざしてしまった。
閉ざす瞬間…何かを呟いていたけれど…。
5文字…
哲人が呟いた言葉の数しかわからなかった。
シャワーを浴びて着替えると、すぐ様浴室を追い出され…
外へと連れ出されてしまった。
「病院に行く前に腹ごしらえをしましょう。」
そう言って手を引かれるまま連れて行かれたのは、病院に近い喫茶店で…
そこには…
恵先生と愛里ちゃんが待っていた。
「僕と祖父では…お嫌だと思って…。」
貴方の信用のおける方と最愛の方に来てもらいました。
そう…説明された。
確かに…恵先生は信用している。
愛里ちゃんは可愛らしい…好きだと思う…。
哲人…でも…彼女たちは俺の最愛ではないんだよ…。
そう…
伝えられたらよかったのにな…。
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