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死ぬはずだった日に見つけたオルゴールを、ゼンマイを回しては
シリンダーが回転するのを見つめていた。
綺麗な音を奏でているであろうオルゴールをただ見つめる。
そうやって3日を過ごした俺は…再び恵先生の元に行った。
恵先生は…難しい顔をして、俺の話を聞いてくれた。
「つまり…哲人くんのオルゴールの曲が何か知りたいわけね。」
「はい…。」
「お断りします。これは哲人くんが曽根さんに残した手紙よ。」
人の手紙を読むなんて無粋はしたくないとキッパリと拒否した。
愛里ちゃんにも断られて…
俺には…もう選択肢が残されてなかった。
恵先生と愛里ちゃんが嬉しそうに笑っている。
「病院と先生を教えてください…。」
哲人のメッセージはきちんと聞かないといけないと思った。
奇跡に縋ってみようと思った。
そのためには…なんでもする。
哲人は俺が隠して捨てた、トロメライ(幸せの曲)を探し出した。
俺も哲人が残したものから、哲人を探し出す。
やっと気付いた…贖罪のために哲人が必要だったんじゃない…。
哲人こそが俺のトロメライ(幸せだった)。
だから…俺は…探しに行くよ。
俺だけの…トロメライを…。
END
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