第1章

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「どうして…。」 呻く様につぶやく僕にあの人はじっと僕をみつめて短く答えた。 「ない。そんな曲はない。」 そうして…僕に背を向き吐き捨てる様に呟いた。 「俺はピアノを捨てた。」 コツコツとあの人の足音だけが耳に残り…僕は…何一つ得ることができないまま… 扉は閉ざされた。 これで…終わり…? 僕には… もう、何もないのに…。 そう思ったら… 閉ざされた扉を狂ったように叩き続けた。
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