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「……そうか」
「あっ、でも!昨晩ちょっとだけ目が醒めて……」
話している内に段々と敬語が崩れていく。
少し前まで同じ屋根の下で暮らし、「おじいちゃん」と呼んでいたのだから仕方無い。
「折れた骨は自然にくっつくのを待つべきですが、意識が戻ればもう心配ないです」
慌てて言葉を正す。
「うむ……解った。後で若い衆に食材などを持ってこさせる。必要な物があれば云っておけ」
長老様はそう言って立ち上がるとすぐに背を向け戸口へと向かう。
腰の曲がった小さな背中が少し寂しそうに見えた気がした。
「ありがとう……ございます」
「…………お前も少し休みなさい」
ぼそりと小さくそう言って、長老様は出ていった。
本当はわたしが疲れてるんじゃないかってみにきてくれたんだ……。
不器用な優しさがなんだか胸を暖かくして、疲れた身体が少し軽くなった気がした。
わたしのお父さんは、六年前、わたしが四歳の時に亡くなった。
物心ついてすぐの事だったから、よく覚えていないが、村に戦の火の粉が飛び火するのを防ぐために闘って亡くなったらしい。
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