2人が本棚に入れています
本棚に追加
映ったのは翡翠色に透き通った柔らかな光。
あぁ、これが温もりを与えてくれていたのだと、反射的に理解する。
しかしそれが何から発されているものかまでは分からない。
今まで目にした事のない神々しい光だった。
「大丈夫……」
光源を確認しようと、更に重い目蓋を切り開かんとすれば、どこからか声が聴こえた。
幼さのある、どこまでも優しい声。
その人物が俺に温もりを、癒しを施してくれているのだと理解する。
「……あ……………」
ただ一言、礼を伝えたかっただけなのに、唇から漏れたのは掠れた言葉にすらならぬ声だった。
「……もう大丈夫ですから。今はゆっくり休んで……」
優しい声は、そんな情けない俺を包み込むように、どこまでも穏やかにそう囁いた。
あぁ、温かい…………
俺はそれ以上視ることを、識ることを諦め闇に身を任せた。
微かに見えた光の主は、優しく柔らかで――――――――まるで古の仙女のように見えた。
*
最初のコメントを投稿しよう!