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「……で、現場はすぐ近くなんだけど、ちょっと問題があるみたい。通報した人がとあるマニアでさ、えーっと…………? ん? ……」
ある晴れた日の、風も心地良い春の出来事である。
警視庁捜査一課のオフィス内でとあるマニアから通報が入り、状況を説明しながら車で移動している最中なのだ。
「……? どうした。さっさと言えよ。また漢字が読めないとか言うんじゃあないだろうな、究極の馬鹿」
車を運転するのは、警視庁捜査一課に所属する巡査部長の新谷令(しんたにれい)という青年である。
令は耳にかかる程の長さの黒髪に、少したれ気味の優しげな瞳を持っている、気弱そうな印象を受ける青年であった。
隣に座るのは、同じく警視庁捜査一課に所属する警部の藤牧明(ふじまきあきら)という青年である。
明は短めにまとめた黒髪に、鋭い目付きが特徴的な、どちらかというと美形の部類に入る顔立ちをしている。
二人は幼い頃からの、腐れ縁に近い付き合いで、今は相棒という立場にいるのだ。
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