12人が本棚に入れています
本棚に追加
「……いやいやいや。違うでしょ。俺、今、運転してるよね? メモ読んでないよね? 何? 明俺の事馬鹿にしてんの?」
それには憤る令をしりめに、興味なさそうに煙草の紫煙を吐いた明が、あからさまに鼻で笑う。
「おいおい。お前まだ疑問系な訳か? ていうかいい加減認めろよ。認めて素直に言えば良いだろうが」
言い合いをする内に現場に到着し、二人は車を降りながらまだ漫才のようなやり取りをしているのだ。
「そういうとこどうでも良い。ていうか俺はこんな通報認めないぞ」
赴いた先では既に何人かの捜査員と鑑識が行ききしていて、キープアウトの黄色いテープを潜ると更に睨み合う。
「お前本当学習しないな。良いから言えって、話が始まらないから」
「あらぁ。イケメン二人組ね。通報されて、却って良かったのかしらん。初めましてぇ」
返そうとしたところを遮って、誰かの艶かしい声に遮られたので、二人してそちらを見遣る。
そこにいた……というか、座り込んでいたのは牛だった。
最初のコメントを投稿しよう!