第一章・ーいわれたー

6/10
前へ
/15ページ
次へ
「嫌だよ。預言されたら絶対当たるんでしょ? 何か不幸な事とか言われそうだもん」  激しく遠慮する令を見た件が笑う。 「あらあら。坊やってば可愛いったら。わたしは取って喰ったりしないわよぅ」 「ていうか、どうでも良いから話を進めよう」  グレーの上下に白のワイシャツと、黒のネクタイをきちんと絞めていた令だったが、いよいよ以て呆れ出したのか、緩めながら投げ遣りな態度でいる。 「……お前、仕事やる気あるのか?」 「うん。少なくともこういうエキセントリックな光景を前に、一っつも動じない明よりはね?」  にこやかではあるが一触即発の空気に、件も口を挟みにくいのかおろおろするばかりだ。 「あ、あのぅ」  そんな二人の間に、遠慮勝ちに割って入ったのは、飼育員のお兄さんであった。  同時にそちらを向くと、飼育員のお兄さんがびくりと首をすくめてしまう。 「つ、通報したのは僕なんです。件ちゃんが、あの……アマビエに命を狙われているんです……!」  何かまた知らない名前が出てきた。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加