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「何? それは確かに心配だな。件女史と言えば、預言系の妖怪では最もメジャーなアイドル的な存在。対するアマビエは、最近でこそスポットライトが当たり始めたものの、まだまだマイナーな存在だ。アマビエが妬みから件女史の命を狙ってもおかしくはないか」
「……なぁ明」
「ん? 何だ?」
「それ。本気で言ってんの?」
すっかり置いてけ堀な感のある令が、つけ入る隙を探して何とか話に加わろうとするのだが、それは無駄な労力と化し散る。
明はそれで怯むどころか益々勢いついて喋りだしたのだ。
「お前ちょっと件女史とアマビエに謝れ。預言系っつってもな、色々あるんだよ。特にアマビエは、日本に伝わる半人半魚の妖怪なんだ。主な棲息場所は海中で、現れては豊作や疫病などの予言をすると伝えられている。アマビエも同じく、画を広め、持っていれば飢饉や大災害から救ってもらえるとされていた。最近だと某妖怪退治アニメで、ほんの少し有名になったろうが」
「うん。それは理解ったから。……で、アマビエが件の命を狙ってるって? 予告状とか送ってきたの? それとも電話? ハイテクだね。電話使う妖怪。最先端だね!」
などとのたまう始末だ。
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