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僕は一人座っている尾崎くんに話しかけようとした・・・
しかし、尾崎くんのボソッと喋った言葉を考えると怖い事にその後を予言しているようだった。
声を掛けることを躊躇していると、尾崎くんが急に大きな声を出した。
『地震!』
すると、学校の裏手にある山の方から地鳴りのような音が聞こえた。
尾崎くんは口を開けたまま目を見開いていた。
一瞬まさかとは思ったが、確かに今までにない声で尾崎くんは叫んだ。
その瞬間、地鳴りの音と共に真下から突き上げるような地震がきた。
とっさに僕は机の下に隠れたが、天井やら壁やら崩れてくる音がして周りからは悲鳴やら叫び声が聞こえた。
あたりは真っ黒な土煙で視界はゼロになっていた・・・
どれくらい時間が経っただろう?
かなり大きな揺れで、今まで感じた事のないような揺れだった。
『ごほっごほっ。み、みんな、大丈夫か?』
何とか僕は瓦礫の中から起き上がる事が出来た。
すると、教室の中はグチャグチャで、周りは怪我した生徒や瓦礫に挟まれて動けない生徒でいっぱいだった。
しかし、その怪我した生徒の向こうで尾崎くんは何事もなく椅子に座っていた。
『お、尾崎くん?君って・・・』
恐る恐る尾崎くんに近付いた瞬間、尾崎くんが椅子から立ち上がった。
『お、尾崎くん?』
すると、尾崎くんは手に持っていたノートを開いてこちらに差し出した。
[僕にはしゃべりかけないで、喋ると現実になる。]
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