1人が本棚に入れています
本棚に追加
二ヶ月前。姑が来る日、運悪く夫は仕事で家にいなかった。それでもいつものように息子と三人、楽しい時間を過ごしていた。
――ピンポーン。
インターフォンが鳴り息子を姑に任せて玄関へ向かった。町内会の回覧板。それを受け取り二人が待つ部屋に向かう。
「ハイ、たーくん。バァカて言ってみて」
「バァ」
「おしいわね。バァ・・・じゃなくてバァカよ。ママはバカ」
「マァ・・・バァ・・・」
「もう、ダメな子ね。じゃあ・・・シネ・・・は?」
私は自分の耳を疑った。普段の優しい姑からは想像することすらできずに驚き、どう言葉をかけて良いのかも分からなかった。
「アラ?美穂さん。もう良いの?」
「す、すみません。回覧板でした」
「そう」
立ち尽くす私に気付き、姑は何事もなかったように笑顔を見せた。そうして、何事もなかったようにその日を過ごした。いつもなら一泊するが、夫が帰らないと知るとその日は帰った。
最初のコメントを投稿しよう!