第1章

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高橋がポケットからスマホを取り出しお茶のペットボトルを購入しようとした時、突然廊下の照明が消え自動販売機のライトも消える。 停電!? 「アチ! 」 ポケットから取り出し手に持っていたスマホが手で持っていられない程の熱を持ち、思わず放り出す。 スマホの隅を指で挟むようにして持ち、慌ててオフィスに戻り使用していたパソコンの画面を見る。 画面は作成途中の見積が消え黒くなっていた、保存せず席を立った自分を恨みながら周りを見渡すとオフィス中が混乱の極みであった。 うるさい程鳴り響いていた電話が沈黙し、通じていない電話の受話器に罵声を浴びせている部長、熱を持ったスマホを慌ててポケットから取り出している係長、 買ったばかりで皆に見せびらかしていた最新機種のスマホの電源を泣きながら入れようとしている事務の女の子、データが消え煙を上げているパソコンを回復させようとしているライバルの男の姿が見える。 高橋はクーラーが止まった事によりその巨体から汗を滝のように噴き出しハンカチで拭っている渡辺に声を掛けた。 「停電か?」 「停電では無いみたいです」 渡辺はそう答えながらオフィスの窓から見える首都高をハンカチを握った手で指差す。
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