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格闘技で鍛えた巨体を震わせながら渡辺が高橋に話し掛けて来る。
「先輩これからどうなちゃうのですかね?」
高橋は事態の深刻さに顔面を蒼白にしながらも返事を返す。
「どうなるか分からんが混乱は当分続くぞ、今現在世界の殆ど全ての物に電子機器が使用されている。
その上、鉄道やコンビニのカードが使えなくては日常の生活さえ困難になる」
「銀行に行って金を下ろさなくちゃ」
「行っても無駄だと思うよ」
「どうしてですか?」
「銀行だってコンピューターが使用されているのだぜ、金を下ろしたくても下ろせないと思うな」
オフィスの皆がこれから自分達に降りかかる事態におののいている所に、何時の間にかいなくなっていた井上の親父さんがコンビニの袋を手にして戻って来た。
親父さんは首に濡れタオルを巻き、買ってきた生ぬるいお茶を飲み扇子で自分をパタパタと扇ぎながら一言。
「昔はこれが普通だったのだけどね」
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