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「愛羅がそれでいいなら、いいけど。でも、退職届は、もう出したんでしょ?」 「社長が留めておいてくれたから」 「あの人が? ……そう」 納得はしていなそうだが、一応麗美は頷いてくれた。 「それでね、社長からもお姉ちゃんに説明したいって言っているんだけど」 「説明? ……そうね。もう少し話を聞いたほうがいいかもしれない。愛羅はお人好しのところがあるから」 呆れる麗美に、言い返す言葉はない。 社会人になってからこちら、麗美に頼りっぱなしなのは事実だからだ。 麗美にしたって愛羅よりたった三歳上なだけだし、自分の仕事だってプライベートだって色々あるのに、愛羅の力になってくれている。 おまけに、長野の実家には、話せる範囲で適当に説明してくれているのだ。 少しでも何かあったらすぐに相談することや、無理をしないことなどを約束させられたが、麗美は今週土曜日の午前中を、瀬乃山のために空けてくれた。
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