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そして、もう一つは前述のものとリンクするが、勤務形態に拘らないことで、従来では正社員にはなれなかった人を、労働力としようというものだ。
すなわち、正社員でフルタイム、週5日出勤という勤務形態以外も認めることによって、就業が制限される者にも、門戸を開こうというものだ。
そのシンボルが、仁科と有坂という二人の女性だった。
「二人とも、象徴みたいになっちゃって、本当に申し訳ないけれど」
課長の水谷が肩を落とすと、二人は勢いよく首を振った。
二人は既に、他の業務の傍らこのプロジェクトの前段階となる調査を、細々と進めてきたらしい。
「それは違います。私は、これがやりたいと思ってこの会社に入ったんですから」
きっぱりと言い切ったのは、仁科だった。
妊娠中の彼女の前職は、人事系のコンサルティング会社だった。
コンサルタントとして外部から関わるのではなく、事業会社に身を投じて、自らの手で改革したいとガレッジに転職してきたのだ。
従業員の働き方に直接関わる今回のプロジェクトは、彼女が提案したものだった。
しかし、妊娠の経過が思わしくなく、しばらく休職した後、現在は在宅勤務を取っている。
今日は、愛羅との顔合わせのため、しばらくぶりに出勤していた。
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