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「もし君が話したいなら、何でも話すといい」
「何でも?」
「そうだ。宮武のことも。清香は執行役員だから、もう事情を知っているだろうが。林にも伝えたかったら、伝えて構わない」
そう言った瀬乃山は、目を伏せた。
「ただ、その他の社員には、俺たちの関係は言わないでもらえるか? そのほうが、君のためにはいいと思う」
「あ……」
思わず言葉に詰まったが、愛羅は静かに頷いた。
――みんなには、内緒にしておこうな。
――秘密のほうが、ドキドキするだろ?
――俺は顔が広いから、愛羅が誰かにやっかまれるかと思うと気が気じゃないんだ。
――愛羅のために、そのほうがいいと思うよ。
耳元に、粘っこい、いつかの悪魔の囁きが蘇る。
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