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悩み始めた愛羅に気付き、瀬乃山がもう一度愛羅に向き直った。
膝に肘をつけ、身を乗り出すようにして、愛羅の顔を覗き込む。
「どうした?」
また不安に揺れる瞳を見て、愛羅もじっと見つめ返した。
「何を考えているか言ってくれ。察してやれればいいんだが、俺はどうもそういうのが苦手だ。もう勘違いしたくないんだ。何でも気にせず、言ってくれないか」
瀬乃山の真剣さが伝わって、愛羅はキュッと拳を握り締めた。
瀬乃山からは、勇気をもらってばかりだ。
こうやって向き合ってくれる人に応えたいと思った気持ちを、少しずつでも形にしていきたい。
「あの……」
声が上擦ってしまったが、瀬乃山は動じずに待ってくれている。
「あの、好き嫌いはないです。ただ、人がいるところが苦手で……随分、外食もしていません」
「そうか……」
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