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デスクの陰に隠れるようにして、何度も唇を重ねる。
その隙間から、何とか声を絞り出した。
「……ダメですよ、会社で、こんなの……」
しかも、朝から。
ついさっき、皆には内緒だと言ったばかりなのに。
隠れるようにして、こんなことをしてしまうと、また嫌な記憶が蘇りそうになる。
「こっち見て、愛羅」
不意打ちで初めて名前を呼ばれて、トクンと鼓動が跳ねる。
「会社でこういうことするのは、これが最後」
だから、こっち見て……と艶を帯びた吐息で請われ、愛羅は潤んだ眼差しを交わす。
満足げに目元を綻ばせた瀬乃山は、見つめたまま、合わせを深くした。
色っぽい仕草に、どんどん鼓動が速くなり、体が火照る。
「最後だから……多分」
「多分?」
咎める愛羅を笑って瀬乃山は、今度は軽やかにキスを続ける。
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